のんべんだらり

観に行ったのとか観たのを書く。

Indigo Tomato

あらすじは書かないでおく。とりあえず。
書こうとおもったら、どこも大事ではしょりたくなくて、すごい長くなったから。

数字が得意でその数字や音とかに色や質感を感じることのできる共感覚を持つサヴァン症候群のタカシと、彼を支える弟のマモル。そして兄弟をとりまく人たちのお話。です。

私は今まで見た芝居で一番泣いたのは「道化の瞳」といってましたが、これからは「IndigoTomato」もいれよう。
てことで、最初の一曲目から泣いてました。
最初どんな話かもわからないのに泣かせるってすごくない?歌詞と曲と歌い手の力!

 
でてくる人がみんないい人。
偏見を持った人とかでてきてもよさそうなのにいない。(あ,1人いるかな) 

タカシのペースとみんなのペースは違うはずなのにそこに違和感がないくらい,まわりのみんながそれぞれの距離間でタカシに合わせて空気をつくってるんだなあとおもいました。
脚本はもちろん,音も言葉も光も声も全部がピカピカして暖かい感じでてキラキラしてた。
葛藤もあるけどハッピーエンドで、ただ感動しました!よかったよかった!でもなくて人の個性や人の心についての自分の考えとかをちょっと見返すきっかけができた感じです。

劇場から気持ちよく帰れる作品だったー。
目はショボショボなってたけど。


曲も全部がステキな曲なんですが、
最初の歌と
最後の歌と
生まれてからずっと居心地が悪いというタカシにあやさんが歌った、
まだみんな気づいてないだけだよ。自分を信じてそのままでいて!っていうような歌と
πの世界に連れてってくれる歌と(あ、歌の前の「ナイショだよ」が可愛かった *´-`)
兄弟の4と9の歌(この曲はどんなに我慢しても「弟が~」の辺りから涙がとめられない)
が特に好きかな。

ぜんぶの曲が、言葉がより理解しやすく耳に入ってくる曲になってる感じ。数字のときだけテンポちがかったりするとこあったり。タカシの頭のなかなのかな、とか。
音がキレイというか、いろんな色のゴムボールがぽんぽん弾んでるようなイメージというか。
悲しい曲は当然悲しいんですが、前向きな曲は聴いてると自然とニコニコしちゃうような。。
CDにしてほしいくらいです。

ステージは幾何学模様(てゆっていいのかな)の壁で,芝居の中でその壁にチョークで数字や図形を書き足していく感じ。
シンプルだけど分かりやすく視覚的にタカシの頭の中にちょっと入れた気がする。
  

マモル役のみぞたくさんは初見なのですが,
毎日の繰り返しにちょっとウンザリしてたりやりたいことを諦めざるを得ないやるせなさだったり母親に捨てられた悲しみや怒りだったり,心の中で沢山葛藤してるんたろうなあ。って子でした。
タカシに直接的な傷つく言葉を投げるのはマモルだけなんですが、それはマモルだからこそタカシの心にも響くんだろうな。
それでも絶対にタカシをあきらめない(見捨てない)マモルってすごいなと思いました。
前に進んだタカシを見て自分も自分の夢をかなえようと進み始めるところとか,やっぱりお兄さんがだいすきなんだなっていうのと,タカシがマモルに支えてもらってるように,マモルもタカシにいろんなことを学んでるんだな~とおもいました。

あやさん(安藤聖さん)は偏見を持たずにタカシたちに向き合ってくれる公園内ジュースやさん?の店員さんですが、ホント偏見ないっていうか垣根がなくて遠慮ない感じもぜんぜんイヤミにならないいいおねえちゃんみたいで。
明るいし笑顔がかわいいし,衣装もビタミンカラーだし,あやさん,好みです(笑)
深く立ち入らず,でもただ見守るってわけでもなくちょうど良い距離で干渉してくるあやさんは人付き合いがうまそうです。憧れ~。
あやさんの歌がすごく元気になれて笑顔になれて好きです。
産休してたようで,今後安藤さんの出るお芝居また見たいな!

剣さんと彩吹さんは脳外科医?,タカシたちの母親,通りすがりのニューハーフ,通りすがりの大阪弁のやり手女性,通りすがりの赤ちゃん連れたおばあさん(おばさん?)の5役。
大変そう。
それぞれがみんなタカシとマモルに影響を与える役でニューハーフのローズさんは人と違う,親の期待に沿えないこともある。でもそれでもコレが私なのよねっていう,きまずさと自分を認める強さを説いてくれた気がしますし,
おばあさんはタカシたちが母親にとても愛されていたことをやさしくおしえてくれたし。
おばあさんが一番影響大きかったのかなと思いました。おばあさんがいなければ,タカシは母親に言われた言葉を大事な言葉だと気づかなかったとおもうので。
そんでマモルにそれを伝えることもなったとおもうので。
剣さんも彩吹さんもとても素敵な歌声なのでファァーってなりました。おばあさんとローズの歌が良かった。

ユーゴはハーフでアメリカにも日本にもイマイチ自分の場所ってところがなくて居心地の悪い思いをしてあがいていた人,かな。
なので,なんとなく自信家でタカシを下に見ているように見えて,実は自分と共通する部分があるなと思ってる感じがあったりして。
自分の番組の視聴率のためでもあるかもだけど,そんな自分と似ている部分を持つタカシに殻を破るチャンスをくれたのかなとも思いました。
どこかの記事でギラギラしてますと書いてありましたけど,ホントギラギラしてた(笑)

タカシ役の平間くんはほんとすごい。円周率どこまで覚えたんでしょうか。(あ,パンフレットで数学が苦手。じゃなく算数が苦手。とかいてあったのカワイイなと思いました。笑)
難しい役だと思うんですが,いかにも演じてます的な感じじゃなくて自然にみえた。
自分のペースを替えるのがイヤで新しいものを求めてもいなかったけど,出会いをきっかけにいろんな人と触れ合って影響もらって自分を認めることができるようになって,タカシはもっと成長していくんだろうなあ。
タカシは基本的に人と話すとき相手の目を見ないようにみえたのだけど(人が話してるときにたまに覗きこんだりはしてたかな)、
通りすがりのおばあさんに,お母さんが残した「あなたは夢をみれる子」っていう言葉を、それは愛されてる人がもらえる贈り物だよと教えて貰ったときに、そのおばあさんの話(歌)に次第に心を向けて、おばさんの目をまっすぐ見る泣きそうな嬉しそうなでもすこし悲しそうななんともいえない表情が印象的でした。
あと,テレビの向こうにいるかもしれないお母さんに話しかけるトコ。弟を親のない子にしたのは自分だと責めるトコ。笑わないタカシが最後に笑うトコ。すべての表情やしぐさが目に残る。
最後の円周率披露のときに途中から踊りだしますけど,そのダンスがすきでした。自分の手を目で追うようなしぐさの振り。スキなんですよね~。なんていうんでしょうね,あーいうジャンルのダンスって。平間くんのイベントで踊ってたのも同じ系ですよね。だいぶ好きです。
ダンスなんだけど突然踊り出すことにあまり違和感を感じなかったな。


IndigoTomatoはそういう種類のトマトがあって
いろんな種類のトマトがあるように人にもいろいろいるんだよ。そして赤くないトマトだっておいしいように
自分と違う個性の人だっているし,違うのがまたいいんだよ。みたいな意味からのタイトルのようでして。

この流れだと帰りにトマトジュースでも!

とやりたいところだけれど,トマトが苦手でトマトジュースが飲めない自分が残念です。笑

観劇日:平成30年5月26,28日

【作*演出】小林香
【音楽】堀倉彰
【上演】2018年
【出演】平間壮一、溝口琢矢大山真志安藤聖剣幸(Wキャス)、彩吹真央(Wキャス)